牛がいた。

ねこもりやの実家には牛がいた。
祖父のリハビリ用にと
父が買ってきたからだ。
なぜリハビリに牛?
散歩のお供だったらしい。
むかしむかしのそのむかし。
今のようにアスファルトなんかなかった田舎道。
牛や馬を連れた人はめずらしくなかったはずだ。
ねこもりやが
知らない間に
その牛はどこかに売られてしまったけれど
黒々と濡れたように潤んだ瞳と
ピンクと黒のまだら模様の湿った大きな鼻は忘れられない。
ドナドナ」を
音楽の時間に初めて聴いたとき
あの牛がどこにいったのかやっと理解した。
涙で顔を上げられないねこもりやを
怪訝そうに覗き込む同級生。
野菜やさかなやにわとりや・・・
いろんないのちをもらって生きているわたしたち。
きちんと感謝して残さず頂こう。
それがせめてもの礼儀だ。

牛がいた

renkokuromaさんの雲上に生息する牛 – 写真共有サービス 「写真部」 byGMO

2 comments Add yours
  1. 食事の前に手を合わせて「いただきます」します。
    ちっちゃい時は大人がそうするからするものだと思い、大きくなってからは、沢山の命を頂いているから私の命があることに感謝する、ありがとうも込めての「いただきます」。
    外国の方と食事する時にいつも不思議がられて、いつも説明を求められます。理解して頂ける理由をちゃんと述べられる程の語彙が無いのが外国の方に対して申し訳ないんですけれどね。
    うちも祖母が「豚」を飼っていました。大きな豚で怖くてなかなか小屋に近寄れませんでした。祖母が体調を崩し世話ができなくなったので手放したみたいですが、私もドナドナの歌を聴くとこの豚さんを思い出します。牛じゃないですけれど。

  2. 人間が口にするものは、ほとんどが、生き物由来なんだよねぇ?
    毎日の食事のとき、命の糧になってくれた生き物たちにも、漁師やお百姓さんにも、みんなに感謝しながら、「いただきます」って、いいたいですね^^b
    口にしなくても、心の中ででも^^ノ

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