桜の記憶 ~その六

 

誰もが助言し,
誰もが母に忠告した
「離婚」という選択を、
かたくなに拒否しつづけた母。

そのときの私には
まだ子供すぎてわからなかったけど
そしていまでも
「あのときに別れようとはおもわなかったの?」
という私の問いに
母はただコロコロと笑うだけで
答えてくれようとはしないけれど。

自分の財産をすべてつぎ込んでまでも
一緒に働いてきた「仲間」を守ろうとした父。

そんな父を
月並みだけど
誰よりも愛していたことだけは
今の私なら理解できる。

そして
気の遠くなるような莫大な借金と
後に唯一の父の宝物となった
社名の入った金属製のプレートだけが残った。

頑固で正直者の父は
周囲が薦める破産宣告をすることもせず、
この後(のち)、
実に20年以上かけてこの借金を返済していくことになる。
父、46歳。
母、43歳。

桜の記憶
yoshidaさんのさくら – 写真共有サービス 「写真部」 byGMO

3 comments Add yours
  1. ねこもりやさんのご両親は立派だーね。
    絆だね、、、意地もあったんかも。
    良かれと思ってお二人でやって来られたなら、絶対それが一番だ。
    来年もまたよろしくねー(^?^)
    よいお年をー♪

  2. ともあれ、自分の信念を貫き、周囲の人に、迷惑かけまいと、一生懸命にがんばった、お父さん。そんなお父さんを見捨てもせず、はげましつづけた(?)お母さん。二人とも、すてきな人生を歩んでこられたんだねぇ?^^b
    だいぶん苦労されたみたいだけど、ホント、いいご両親ですね^^b

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