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子供のころ。
庭の柿の木の、”つぃっ”と手を伸ばせば届きそうな
けっして居心地はよくないだろうかたい枝さきに
宙吊り状態?で
しかし
しっかり、がっしりとしがみついている
孵化寸前の蝉を見つけたことがある。
真夏のじりじりと焦がされるような太陽の下。
子供のねこもりやと
子供のねこもりやよりもっと子供だった従姉妹はふたり、
しっかりと手をつないだまま
その手がじっとりと
汗ばむのも忘れ、固唾をのんで見つめる。
言葉を発するのもはばかられるような神聖で崇高な思い。
二時間程だったか・・・
それまでのじれったい様な
もどかしいような「事の進展」がうそのように
一気に脱ぎ捨てるかのような孵化の瞬間。
いままで、身動きひとつとれない硬く狭い殻のなかでの生活の、鬱憤を晴らすようなキラキラした瞬間。
多感な少女?だったねこもりやは
ねこもりやの手を握ったまま
呆けたように動こうとしない従姉妹に
「蝉はね、土の中で6年じっとしていて
やっとやっと、外に出られたと思ったら、たった一週間で死んじゃうんだよ。」
と
精一杯の知識を
涙とも汗ともわからないものをぬぐいながら
小さな声で披露した。
いま、思えば
よくも飽きもせず、見守れたものだ。
いまのねこもりやにこの根気強さと熱意があれば
少しは出世でもするだろうに。
注:蝉の寿命についてはいまだはっきりとした説はないようです。
ただ、土の中での時間より夏の空を思う存分飛びまわれる時間は圧倒的に短いのは確かのよう。
周防大島商タイム:バシャッとゲット その2 蝉誕生 – livedoor Blog(ブログ)
画像:まるぼーさんの始まりの朝 – 写真共有サービス 「写真部」 byGMO
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本当に優しい文章に切なくなりました。
生き物は、自分で生き、自分1人で死んでいくんですから、本当に偉大ですね。